広島大学医学部(救急集中治療医学)の貞森拓磨客員准教授と株式会社NTTドコモ、モバイルクリエイト株式会社、インフォコム株式会社、ciDrone株式会社が提案した事業が、総務省の戦略的情報通信研究開発推進事業 (SCOPE) の地域ICT振興型研究開発枠に採択されました。提案事業内容は、緊急時に必要となる血液検体などを無人航空機 (ドローン)を活用して、搬送するための研究や技術開発を行うものであります。なお、広島県豊田郡大崎上島町で実証実験を予定しており、当社は、無人航空機の自動飛行や機体開発の研究開発を行います。
血液検査は、診療に際して必要不可欠な検査です。特に緊急性の高い疾患では、検査結果判定の遅れが診断の遅れに繋がり、治療介入の遅れ、ひいては死亡率を上昇させている懸念があります。特に、広島県は島嶼部や山間地域が多く、無医地区数が全国2位と医療過疎が課題となっています。
本研究は医療過疎地域において、緊急性の高い血液検体や医療資材を搬送する、新たな手段を構築することを目指したものです。これは、国内に418島ある有人離島及び過疎市町村616団体の地域医療において、人手(自動車輸送)に頼っていた部分を自動化できる可能性を秘めており、社会性と事業性を併せ持った取り組みです。
実証検証フィールドである大崎上島町は、瀬戸内海のほぼ中央に位置する県内唯一の離島であり、島へのアクセスは船のみです。総人口7834人、4307世帯に対し、医院は5つ。医療資源が十分ではなく、様々な課題が山積しています。
今年度は、医療過疎地域の医療機関における緊急時の検体検査の実態を調査し、既存の技術を組み合わせた携帯電話回線を利用した無人航空機の自動飛行、狭帯域での映像伝送などを行います。また、無人航空機によって運搬された検体の状態の変化なども検証します。来年度以降は、今年度で得られた検証結果を元に、より長距離の搬送を安全に行うために無人航空機の改良を行います。